「お前は、お前にとってのデス・スターを見つけなきゃならない。」
これは「Fanboys(ファンボーイズ)」の劇中で、主人公エリックにひげもじゃでハン・ソロファンのハッチが言うセリフだ。
エリックは、中古車店で働いているサラリーマンだ。社長を務めている父親からは「Join me!」と会社を継ぐよう迫られており、仕事は順調そのものだが、心の中では自分の居場所はここではないのではないか、と満たされない何かを感じている。仕事の合間に、好きなアメコミを書く時間だけがそのことを忘れさせてくれるのだ。

そんなエリックは、ハロウィンパーティーでしばらく疎遠になっていた『スター・ウォーズ』オタクの友人たちと久しぶりの再会をする。

来年公開の『エピソード1』早く見たいよなぁ、という話とともに、仲間の1人であるライナスが小5の時から思い描いていた「アメリカを車で横断し、スカイウォーカーランチに侵入する」という夢を話す。
しかしエリックは、あまりに長距離すぎるし、着いても逮捕されるだけだから「できっこないさ」と否定する。
しかし、そのライナスは末期ガンで余命わずかの体だったのだ。どうしても見たくて仕方がない『エピソード1』を見ることは、叶わないかも知れない。ここで友人のため決心をしたエリックは、仲間たちを巻き込んでライナスとともにスカイウォーカーランチへの旅に出るのだ。
そして、その旅の途中で色々あって将来に迷ったエリックに投げかけられたのが冒頭のセリフである。このセリフは、「Fanboys(ファンボーイズ)」のテーマ、そして日本での上映署名運動とも相通じるところがあり、『スター・ウォーズ』ファンならずとも心に迫る一言である。
作品全体を通して重要なこのセリフは、このシーンの後にもライナスの重い病状を見た医者(演じるのはキャリー・フィッシャー)から、この旅の中止を告げられる場面にも登場する。

「ここであきらめちゃいけない!」と叫ぶ病床のライナスに対して、彼の身を案ずる仲間たちは「『スター・ウォーズ』なんて、ただの映画さ」と言って、彼の身の安全を優先させようと気遣う。
しかし、そんなこと心にも思っていない。自分が愛するもの、好きなもの、夢中になれるものは、その人にとって、ただの映画以上の何かがあるのだ。
色々な体験を経て、もう迷いのないエリックは「これは、オレたちにとってのデス・スターだ!」と仲間たちを奮い立たせる。
そう、エリックたちにとって、厳重な警備で固められたスカイウォーカーランチを突破し、余命わずかなライナスのため『エピソード1』を見ることこそが、必ず叶えたい、命を削ってさえも実現させたい夢なのだ。
ちょうどルーク・スカイウォーカーが、あらゆる困難を乗り越えてデス・スター破壊を目指したように。

そして、「Fanboys(ファンボーイズ)」の日本公開を目指す僕たちにとっては「Fanboys(ファンボーイズ)」を日本の映画館で見ることこそが、僕たちにとっての「デス・スター」なのだ。
エリックたちの道のりは果てしなく遠いし、スカイウォーカーランチは超厳重な警備なので、そもそも無謀な試みだ。
この署名運動も、まだまだ署名数は配給会社を説得出来るまでには至っていないし、もし今以上の署名が集まったとしても、配給してくれる映画会社を探し上映を実現させるには困難が多々あるだろう。
しかし、ハロウィンパーティーでスカイウォーカーランチ突破の話を否定したエリックにハッチは、「不可能なんてないぜ」と言った。
また、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』でX-ウィングを浮上させることなど不可能だと思い込んでいたルークに対して、ヨーダは「だから失敗したのじゃ」とも言っている。
何事も、「できる」と信じて進んでいかなければ実現できないのだ。
それに、ライナスのように末期ガンではなかったとしても、人生は限られた時間で出来ている。だからこそ、一所懸命に「楽しい」と思えることをしたい。

アメリカを横断して、様々なハプニングに巻き込まれながらもスカイウォーカーランチまで旅したエリックたちのように、僕らの旅もきっとこれからも困難なことがたくさんあるのだろう。でも旅はきっと、そういうことがあるからこそ思い出深いものになるはず。
この旅は大勢の方がきっと楽しい。だから、まだこの旅に参加していない方も、R2が着いたバンに乗ってスカイウォーカーランチを目指そう!その一歩が、みんなの夢を確実に前に進めるのです。
そう、「Fanboys(ファンボーイズ)」公開を目指す署名運動は、僕たちにとってのデス・スターなのだ。